日本は基本的に高温多湿のため、室内のカビが発生しやすいのです。最近は高断熱、高気密構造の住宅が増えてきて、湿気がたまりやすく、カビの発生を助けているような住宅が多いのです。特に湿気の多い夏場はカビの季節。家の中にはカビの発生しやすい所がいくつかあるが、換気を良くして除湿を徹底することが一番効果があります。けれども、日本の住宅は高温多湿という気候条件に適し、換気のしやすい木造の開放的な住宅が特徴です。
戦後、コンクリート構造で気密性が高く、外気を遮断しやすい閉鎖的な住宅が増え、室内に湿気がたまりやすく、カビが繁殖しやすい条件がそろってきています。夏は湿気の増加、冬は室内の温度差でできる水蒸気の結露によって、カビが1年中発生しやすくなりました。また、共働きの家庭が増加し、昼間の換気が行き届かないというライフスタイルの変化も、要因の一つに挙げられます。カビは温度(20~30度)湿度(75%以上)と、栄養分となる食品などの有機物がそろえば増殖します。空気中にはカビの胞子が常に浮遊しているため、湿気がたまりやすく、カビの発生しやすいので、次のような場所は特に注意が必要です。
浴室 家の中で一番カビが発生しやすく、カビの楽園になっている場所が浴室。栄養分となるせっけんかすを残さないようにすることが大切です。カビは高温に弱いため、使用後は温水シャワーでタイルや壁、ステンレス部分などに付着した汚れを丹念に洗い流す。浴室内は短時間で大量の水蒸気が発生するため、タオルなどで水滴をふき取った後、できるだけ窓を開け、換気扇を回し、湿気を排出。ただし、防犯のため窓を開けっ放しには注意が必要。浴室と隣接する部屋に湿気がいかないよう、浴室の戸は閉めて行う。
台所 ガスが燃焼すると水蒸気が発生する上、湯を使えば同じように水蒸気が出ます。そのため、ほかの部屋に水蒸気が広がらないよう、調理だけでなく、炊飯時洗い物などで水を使用している時は、換気扇を回すようにしてください。カビの食料庫といわれる台所は、調理時に飛んだ汁などがあると、カビの栄養源となって繁殖しやすくなるため、まめに掃除をするように心がけてください。
押入れ 布団は一晩で牛乳ビン1本分(200ML)の汗を吸っているといわれています。そのまま畳んで押入れに入れるのではなく、一度イスなどに布団を立て掛けて湿気を湿気を取った後、収納するよう心掛けてください。特に、寝汗をかきやすい夏場は気を付けるように。布団をぎゅうぎゅう詰めにしないで、押入れの床と壁にすのこを使って空間を作るようにすると、風通しを良く、湿気を取るカビ対策になります。
エアコン 除湿対策としてエアコンを使用することは有効ですが、使い方を誤ると逆にカビの発生源になります。エアコンを切ると、機械内部に水滴がたまり、カビの胞子が増殖しやすくなるためです。そこでエアコンを運転する時は、まず窓を開けて送風運転して胞子を飛ばす。スイッチを切る前も送風運転にしてエアコン内部をよく乾燥させるようにすることが大切です。フィルターにほこりなどがたまると、効率が悪くなるばかりでなく、そのまま放置しておけばカビの発生源になるため、定期的に掃除してください。
洗濯物干し 洗濯物を室内で干すと、湿度が10%以上上昇するといわています。そのため、室内で干さないのが原則。どうしても干さなければならない時は、換気扇を回しながら浴室で干す方がよいでしょう。
カビ取り対策 次亜塩素酸を主成分とする塩素系のカビ取り剤が一般に普及しています。浴室のタイルの目地に生えたカビは、カビ取り剤を所定の時間定着させる方法が有効でしょう。汚れのひどい部分は、歯ブラシなどで軽くこすった方が落ちますが、むやみにこすっても効果は薄いので注意が必要です。カビ取り剤の上にティッシュをあてがい調布する方がよいでしょう。
塩素系カビ取り剤は、酸性の洗浄剤を混ぜると塩素ガスが発生し、そのガスを吸って死亡した例もあるため、換気扇を回し、手袋使用するなど注意が必要です。壁や家具などのカビは、アルコールで殺菌した後、薄めた漂白でカビの色素によるシミを落とす方法が有効。その場合、アルコールが完全に乾燥してから漂白作用のカビ取り剤を使用してください。
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